少年愛之美学

守備範囲がやや広めの腐女子による鑑賞と思索。

松田龍平、という彼岸と詩情の役者について

数年前朝ドラ「あまちゃん」のミズタク役が人気が出たり三浦しをんさんの大ヒット小説『船を編む』の実写化で主演を務めたりした俳優松田龍平さんについての記事です。

BLの世界に入りたての頃、そしてまだBLレーベルのコミックやアニメといったサブカルチャーの世界には足を踏み入れていない頃、書物はおおかた開拓して(いやまだまだなんですが)洋画に移り「アナザーカントリー」を筆頭に観漁ったのち、新たなステージを求めて邦画へと向かった私は「同性愛 邦画」「BL 邦画」「ホモ 邦画」「ゲイ 邦画」などで検索をかけて血眼になって探しているとやたら目に付く松田龍平という役者さん。「御法度」を拝見、主演の美少年に落ちた私はしばらく松田龍平ブームのもとBLはとりあえず置いといて出演作を観漁ったのでした。するとなんということでしょう、BLの方も劣らず付いてきてしまった。

ところで映画俳優さんの中にはどことなくホモっぽい配役を引き寄せてしまう方っていらっしゃるんですよね。しばらく実写BL界隈にいらっしゃった斉藤工さんとか「受け」という概念の権化のような窪田正孝さんとか。そのお二人が共演されてとんでもない化学反応が起こってしまったのがドラマ「火村英生の推理」でしたね。火アリ。

今回は火アリの話ではないのですが松田龍平さんもそういった方面で""何か持っている""俳優さんの一人だと思う。昭和の大俳優松田優作さんのご長男で、イケメン俳優松田翔太さんのお兄様ですけれども、auの三太郎CMなどで大活躍中の弟さんとは見事に被りのないキャラクターで第一線を走りつづけていらっしゃいますよね。個人的には翔太さんがエンタメ小説で龍平さんが純文学、といったイメージ。
松田龍平、デビュー作が濡れ場有りのホモ映画(当時16歳)だったせいか(?)その出演作は腐女子ホイホイものが実に多い。今回はその「松田龍平出演腐女子ホイホイ映画」についてご紹介させていただきたいと思います。


●御法度 大島渚監督


御法度(予告)

司馬遼太郎の短編「前髪の惣三郎」「三条磧乱刃」を下敷きに新撰組を男色的視点から捉えた作品です。ビートたけしさんや浅野忠信さんなど豪華キャストが集結。現代の人と思えないほどのリアリティで「男を惑わす」「幕末期の美少年」を体現した松田龍平氏(16)、田口トモロヲさんとの濡れ場を妖艶に演じきった。さすが大俳優の息子、貫禄が違う。デビュー作ということで演技には不慣れな感じが致しますけれどもむしろ人智を越えた感じが出て許せる。殺陣はめちゃくちゃ美しいです。この子になら斬られても本望だろうな……と。
それだけではないんですよ、関連エピソードがね、その小悪魔ぶりが凄い。共演者さんたちから「姫」って呼ばれていたり、インタビューで「男の人にもてるのどんな気持ち?」と尋ねられて「嬉しいですよ。こんな気持ちないもん」って応えたり、迫るシーンの前「太ももに触らないでね」からの演技後「何で触らないの?僕が嫌いなの?」とか。全てソースはネットのどこかで不確かですが。すみません。

●青い春 豊田利晃監督


青い春 予告編

松本大洋の短編漫画集『青い春』収録の「しあわせならてをたたこう」などをもとに作られた作品です。男子校の不良たちの退廃的で絶望的でセンチメンタルな青春を描いています。根性試しで新記録を打ち立て校内で一目置かれる存在となった厭世的(?)少年「九條」を務めておられます。学ラン姿の美しさは凄まじい。本当に脚長いんですよ。「御法度」とはまた違う美しさ。松田龍平の美は時代を超えて通じるんでないでしょうか。新井浩文演じる「青木」の、九條への憧れと反発から生まれる諸々の行動が愛おしく、最終的に究極の行為をさせてしまうことにも説得力を与えるほどの威風を松田龍平さんの九條は纏っていた。

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個人的に好きな、九條による青木の散髪シーン。可愛い。(画像は予告映像から。)

IZO 三池崇史監督


Izo (trailer)

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未視聴です。R15、まあ三池監督だし。幕末の殺し屋岡田以蔵をモチーフに時空を跨いだ殺戮を描いたファンタジー。桃井かおりさんなど有名俳優さんたちが結集した豪華なキャスト陣です。松田龍平さんは超越者「殿下」として出演されているそうで予告映像だけでもう中性的で美しい。性を超越した美ってこういうのを言うんだなと。レビューなど拝見する限りの判断ですが、めちゃくちゃな構成から深い意味が見出せそうな作品って凄い好きで、絶対私ハマると思うので視聴したらまた感想を書かせていただきます。

46億年の恋 三池崇史監督


46億年之戀 預告

正木亜都『少年Aえれじぃ』原作、殺人罪で同日に入所した2人の少年の魂の交流。松田龍平さんはその一方を演じているのですがその役が元ゲイバー勤めだったり、刑務所内でデキてるデキてないの話があったり、全体を通してホモセクシャルな雰囲気が流れています。何よりも主人公2人の美しくて痛々しい交感が本当に尊い。いやそれにしても、象徴主義というのか解りませんけども全てを詩で語る三池監督作品ほんとツボです。映画でしかできないことってある。

まほろ駅前シリーズ 大森立嗣監督


映画『まほろ駅前多田便利軒』予告編

まほろ駅前多田便利軒」「まほろ駅前狂奏曲」がありますが三浦しをんさん原作『まほろ駅前多田便利軒』の実写化。三浦しをんさんというだけで「匂いホモキター」という感じですけれども瑛太さんとのバディーもの、凄く萌えます。二人で子供預かっちゃったりして、夫婦か。芸術的な松田龍平さんも良いですがコミカル可愛い方も良い。バディーものといったらあとは大泉洋と共演された探BARこと「探偵はBARにいる」もそうですね。


BLとは言えないんですが村上龍原作の「昭和歌謡大全集」の龍平さんも凄く良い。青年たちとオバサンたちの鼬ごっこ殺戮ゲーム。村田充さんとここで共演されていたのは驚きました。あと藤原竜也さん演じる新興宗教の若き教祖を暗殺しに行く「I'm Flash!」もなかなかわけが解らなくて良かった。

まあこのように、概して死とか彼岸とかの空気を纏った退廃的で神々しいキャラクターが松田龍平さんには合うと思うのです。2016年のドラマ「営業部長 吉良奈津子」、あれは視聴率が頗る悪かったみたいですがああいう松田龍平の使い方は良くない! 解ってないな! と私は勝手に盛り上がっていました。松田龍平さんはスカッと系のアメリカンハッピーエンドには向いてないしまともな長台詞はダメなんですよ。松田龍平さんの無表情棒読みは意味の解らん詩を読んで活きるんですよ。いや、凄く可愛かったですけれどもね。

 

冷たさと愛嬌を兼ね備えた容貌に「松田龍平の足が長すぎてちゃんと座れないシリーズ」なるものが存在するほどのスタイルの良さ。素晴らしい、神様ありがとうございます。