少年愛之美学

守備範囲がやや広めの腐女子による鑑賞と思索。

『霊応ゲーム』、ホラーと美少年の親和性について

クレイジーサイコホモ文学として一部界隈では定評のある、萩尾望都竹宮恵子作品に代表されるギムナジウムもの・寄宿舎ものが好きな方には最早マストの英国パブリックスクールを舞台にしたホラーサスペンス小説『霊応ゲーム』、全寮制男子校もので作者は本場パブリックスクール出身の弁護士パトリック・レドモンド氏、ということですからその作品世界にも現実味があります。主人公達の蜜月の他にも過去に教師と恋仲になって放校処分となった生徒のエピソードがあったりとちょいちょい同性愛的ネタが入っているのですが先述のように作者は実際のパブリックスクールライフの経験者ですから、これは「リアル」だと思って良いのか!? と腐女子としては夢の膨らむ作品です。

あらすじをAmazonから引用させていただきます。後程リンクを貼ります。

 

”1954年、イギリスの名門パブリック・スクールで学ぶ14歳の気弱な少年ジョナサンは、同級生ばかりか教師にまでいじめられ、つらい日々を送っていた。しかしある時から、クラスで一目置かれる一匹狼のリチャードと仲良くなる。二人が親密になるにつれ、ジョナサンをいじめる悪童グループの仲間が一人、また一人と不可解な事件や事故に巻き込まれていく…彼らにいったい何が?少年たちの歪んだ心を巧みに描いた幻の傑作。”

 

心霊・オカルトの要素が強く後味がめちゃくちゃ悪かったのを覚えています。ストーリー中に登場する降霊術に巻き込まれてしまったような不快感というか。それが本作のリアリティーですね。

BL的視点からご紹介させていただくと「ミステリアス美少年×気弱な平凡少年のクレイジーサイコホモ」となるんですけれどもこの小説に登場するリチャードという美少年が本当に美少年で、閉塞空間で自尊心の動揺を経験すると少なからず逸脱的存在に惹かれてしまうというのはよくあることですがこのリチャードの魔性は思春期の鬱々と自尊心の外傷に生気を抜かれていた主人公ジョナサンの崇拝を受けるには十分すぎるカリスマを持っていた。そして逸脱への傾倒は危険と紙一重で、結局若い身を滅ぼす結果になることもしばしばであるという普遍的テーマもさり気なく描かれているのかなとも感じられるあたりどことなく古屋兎丸みがある。

恐怖・不気味というモチーフに美しさという装飾が被せられた時にどんな芸術的爆発が起こるかという、それはもうゴシック様式美術的な厳かな美しさですよね。リチャード君の絵画性と少年同士の純粋でエロティックな交流(このエロティックが通俗的帰着にまで踏み切らないところに美学がある!)と、そこに常に限りなく死に近いメランコリーという精神的舞台があって、もう美しいとしか言いようがない。

セックスには至らないと書いたところですが何せしばしば「公式か二時創作か解らない」状況に陥る腐女子が数年前に読んだ小説について書いているわけですから不安になってきました。是非皆さんの目でお確かめになっていただきたいと思います。

 

思い付いたまま書き散らしている記事ですから今回はうろ覚えだったもので軽めに終わらせていただきますが後日再読してまた感想を付け足せたらなと思っています。

霊応ゲーム (ハヤカワ文庫NV)

霊応ゲーム (ハヤカワ文庫NV)